
大阪にリトル沖縄と呼ばれる地区があるのはご存知ですか?飛行機に乗らなくても、バスや電車で行ける”沖縄”をご紹介します。



はいさい!おいらの出番だな!リトル沖縄の案内は任せてくれ!
『リトル沖縄』について
大阪にリトル沖縄ができた理由
大阪市を構成する24行政区のうちの一つ、大正区(たいしょうく)には沖縄県出身が多く、2世3世を含むと、人口8万人のうち4分の1を占めると言われています。
しかし、この情報は数十年前の統計に基づくもの。現在、大正区の人口は**59,465人(大阪市:令和4年10月1現在推計人口より)**まで減少しており、区の担当者によると「沖縄からの移住者を対象にした調査は行われておらず、正確な数は不明」とのこと。さらに、沖縄出身者の子孫は4世・5世と増えているため、昔の「4人に1人が沖縄出身」という割合は、もはや当てはまらないかもしれません。
大正区の次に多いのは、その隣街の西成区。


沖縄本島北部出身者が多く、大正区ではその中でも現在の名護市出身、西成区では本部町、今帰仁村出身の方が多く住んでいます。


なぜ大正区に沖縄県出身者が多いのか?
その歴史は約100年前にさかのぼります。
大正区への移住者が本格的に増えたのは第一次世界大戦後。
当時、沖縄では深刻な不況により、米はおろか芋も食べられず、
「ソテツ地獄」と呼ばれる時代がありました。
食糧難の中、人々は毒性のあるソテツを工夫して食べながら飢えをしのぎ、
本土や海外へ出稼ぎ・移住する人が増えました。


大阪の紡績工場と沖縄出身者
一方、大阪では、大阪では紡績産業を中心とした軽工業が発展し、多くの労働力を必要としていました。
その中心的な役割を果たしたのが、渋沢栄一や藤田伝三郎らが出資した「大阪紡績(現・東洋紡)」です。
大阪紡績は大正区の三軒家村に設立され、24時間稼働する工場では多くの沖縄出身の女性たちが働いていました。


出稼ぎのつもりで来た人々も次第に定住し、やがて沖縄出身者のコミュニティが形成されるように。



当時は「朝鮮人・琉球人お断り」という張り紙が当たり前にあるほど、差別が厳しい時代。そのため沖縄出身者は自然と大正区内の一部に集まり、「ゆいま〜る(助け合い)」の精神で支え合いながら生き抜いてきたんじゃよ。
大正への行き方
電車でいく場合
🚃 JR大阪環状線
沖縄の風を感じたいならJR大阪環状線がオススメです。




・JR大阪駅から内回りで5駅(11分・180円)
・JR大阪駅から外回りで14駅(31分・180円)
ホームに降りると、シーサーとハイビスカスが描かれた駅名標が目に入り、
発車メロディには沖縄民謡『てぃんさぐぬ花』が流れます。





おいらの絵が壁に♫
「てぃんさぐ」とは「鳳仙花(ホウセンカ)」のことじゃよ。
🚇 大阪メトロ 長堀鶴見緑地線
地下鉄でいく場合は、長堀鶴見緑地線に乗り、終点の大正駅で降ります。
・なんば駅から心斎橋駅で乗り換えて4駅(約18分・230円)
・梅田駅から心斎橋駅で乗り換えて4駅(約20分・230円)
大正駅の周辺には、沖縄感溢れる居酒屋がたくさんあります。







近くに京セラドームもあるので、野球観戦やイベントの前後に立ち寄るのもオススメ!
大正区の沖縄料理店まとめはこちら


ちょっと変わった行き方



少し変わった方法で大正区へ行くルートを教えます。
大正区は、区全体が運河に囲まれた島状の地形となっています。


1. メガネ橋を渡る


大正区と西成区を結ぶ「千本松大橋」は、上から見るとメガネのような形に見えることから「メガネ橋」の愛称で親しまれています。


大きな船が通るため、橋の高さを上げるために螺旋状になっています。
車でも徒歩でも自転車でも渡れる大阪有数の高層大橋。
橋の上からは町全体を見下ろすことができます。




グルグルしていて面白いですが、遠心力で体がぐいぐい持って行かれるので、運転に慣れていない方や三半規管が弱い方は、避けた方がいいかもしれません。



橋の終点が信号になっとるから、橋の途中で止まることがよくあるんじゃ。前の車にぶつからないよう注意して運転するんじゃぞ!
2. 渡し舟を利用する


かつて水の都と呼ばれた大阪には、市の運営する渡船場が8カ所あり、買い物や通勤通学の足として日常的に地域の多くの人々に利用されています。
8カ所のうち7ヶ所が大正区にあり、自転車ごと乗れるので楽に川を渡れます。
10〜15分間隔で運行し、乗船時間はわずか1分ほど。
無料でクルージング気分が楽しめます。



乗船中の写真やビデオ撮影は安全上禁止されてるので、ルールは守ろうね。
渡し船の乗り方についてはこちら


3. シャトルバスで行く
JR難波駅と大阪駅前から大正に向かうシャトルバスがあります。
それは、IKEAと東京インテリアのシャトルバス。(2018年4月からIKEAシャトルバスは無料ではなくなりました。大人:片道210円現金のみ)


IKEA鶴浜店と東京インテリア家具大阪本店は、鶴町にあります。(向かいあってます)
しかしIKEA・東京インテリアから、後述する平尾エリアまで徒歩30分、大正駅まで徒歩1時間かかるのでおすすめできないルートですが、ショッピング➡︎歩いてお腹をすかす➡︎沖縄料理屋、というのも選択肢の一つ(?)
マイカーでIKEAに行く予定がある方におすすめの記事はこちら


大阪沖縄県人会について
大阪市内には、大正/西成/此花/西淀川/港/住之江/北/都島/中央西の9つの県人会があり、堺市には堺沖縄県人クラブがあります。(県人会=他の府県、または他国で、同じ県の出身者が親睦をはかるために組織している会)
大正区内には「大阪沖縄会館」と「大正沖縄会館」があり、大正区以外では西成沖縄県人会が唯一、会館を保有しています。
大阪沖縄会館


こちらの大阪沖縄会館は、大阪沖縄県人会連合会が運営されており、大阪府にある各地域の沖縄県人会の統括機能を担っています。
1階には朝から沖縄そばが食べられる「お食事処 よしや」さんが入っています。
地元の方にも大人気のお店。(※2023年12月閉店)




上の階では、琉球舞踊の教室が開かれたり、プロレスが開催されることも。


大正沖縄会館


こちらは、大正沖縄県人会の拠点場所となっています。
大正区で沖縄の雰囲気が色濃い『平尾』


大正区の中でも特に県出身者が多く、リトル沖縄と呼ばれる場所は平尾(ひらお)にあります。
この界隈を歩けば、新垣・玉城・宮城・渡口・金城・城間・新里・儀間・知念・東江さんなど、沖縄の苗字の表札がずらり。玄関にシーサーを置いてある家がたくさん見受けられます。
大正駅から平尾までの行き方
大正駅から平尾までは片道3kmと、少し離れています。
1. バスで行く
大正駅の駅前にある大正橋から71号・76号・91号の大阪シティバスに乗って9駅目の平尾で下車してください。(約12分・210円)




2. 自転車で行く
最近利用者が増加しているシェアサイクルが、駅近くのファミリーマート大正駅北店にあります。
大阪バイクシェアは、大阪市内を中心に設置された好きなポートで自転車を借りて、返却ができるシェアリングサービスです。
近年利用者が増えているので、タイミングよく空き自転車があるかどうか注意する必要があります。




平尾本通商店街
よくメディアなどで、リトル沖縄を味わいたいならここ!と紹介される、通称「サンクス平尾」と呼ばれる平尾本通商店街。


守礼門が描かれた垂れ幕や、シーサーが描かれたシャッターなど、沖縄感満載。




しかし現在は、悲しいことに空き店舗が多いのが現状です。
営業しているお店は約2割ほどでしょうか。商店街の入り口に、昭和42年から続く「マルトミ食堂」という有名な沖縄料理の食堂がありましたが、そこも閉店。
2012年にNHK連続テレビドラマ『純と愛』のロケ地だったことを思い起こさせるのぼりも、今は色褪せてしまい、哀愁を加速させています。


しかし、沖縄料理に欠かせない豚肉を各種揃える「仲宗根精肉店」さんや、沖縄食材を豊富に揃える「沢志商店」さんなど、今もなお営業されているお店もあります。




こちらの沢志商店さんでは、スタンダードなポークだけでなく、ガーリックも扱うほど品揃え豊富。


店のお母さんに話しかけると、今帰仁村出身の家系だそうで、今帰仁の話を色々してくださいました。
「”沢志”は今帰仁で多い名前で、もともと、女子サッカー選手の澤さんの澤に、山に氏名の氏に一っていう漢字で、澤岻だったのよ。でもこっちの人は読めないから漢字変えてね〜。」
と教えてくださり、とても悲しい気持ちになりました。
というのは、昔「琉球人お断り」という看板が当たり前にある時代がありました。
差別から逃れるために、沖縄の苗字を本土風の読みに変えたり、なかには苗字自体を変える人もいました。
大正区出身で、久高寛之選手という元世界ランカーのプロボクサーがいます。
久高選手の父方の祖父母は東村、母方の祖父母は今帰仁出身の方で、久高選手は沖縄3世になります。
本名の読み方は「ひさたか」で、デビュー当時からリングネームにも本名の「ひさたか」を使っていましたが、
デビューして16年目の2017年にリングネームを「ひさたか」から沖縄で一般的な読み方の「くだか」に変えました。
今でこそ、沖縄にルーツがあるというと羨望の対象になりますが、差別や偏見がひどかった時代を乗り越えてきた先人のおかげで今があります。
久高選手の他にも、元体操選手・金メダリストの具志堅幸司さんや、サッカー漫画・ブルーロック原作者の金城宗幸さんも、実は大正区出身の大阪ウチナーンチュ。





大正駅から少し遠いけど、平尾にも足を伸ばしてみてね。
朝日新聞デジタル『今夜も島唄に酔いしれる 大阪のリトル沖縄、100年』(2018年11月28日)
(商店街の動画あり/50秒)
デイリーオキナワ
大正区には一味違ったコンビニがあります。
それは「デイリーヤマザキ大正店」です。


外には「沖縄物産」と描かれたのぼりがはためき、中に入ると沖縄民謡が流れています。


沖縄のスナックやドリンクやアイスはもちろん、惣菜コーナーには島豆腐や沖縄そばの生麺まで置いています。






パンコーナーには手作りのサーターアンダギーも。
このような独自の店舗展開ができているのは、「本社と直談判し、地域の特性を理解してくれたのか、渋々でしたけどOKをもらいました」と取材で語られています。
関西最大エイサー祭り
大正区では毎年2つのエイサー祭りが開催されています。
- がじまるの会主催 エイサー祭り
- River大正エイサーまつり
エイサーとは、沖縄と奄美群島でお盆の時期に踊る伝統芸。


見所はなんといってもエイサー舞踊ですが、三線や島唄ライブもあり、屋台では沖縄グルメを堪能することができます。


フィナーレはカチャーシーで盛り上がって締めるのが恒例。
がじまるの会主催 エイサー祭り
毎年9月の第2日曜日に千島公園グランド(大正区役所近く)にて開催。
2020年、2021年、2022年度の開催はコロナの影響により中止となりましたが、2023年に復活。
参加団体は関西のみならず、本場沖縄や全国各地から集まり、来場者は2万人を超える関西最大規模のイベントです。
今年は9月22日(月・祝)に開催予定。
▼がじまるエイサー広報部facebookページはこちら
@kansai.okinawa.gajimarunokai


River大正エイサーまつり
毎年8月の第4日曜日に平尾公園(平尾商店街近く)にて開催。
2013年からはじまったRiver大正エイサーまつり。
こちらは元祖がじまるの会主催エイサー祭りに比べると規模は小さく、地域の小さなお祭りという感じですが、年々出店も増え、遠方からの来場者も増えているようです。
2019年の第7回River大正エイサーまつりには、初めて本場沖縄から北谷謝苅青年会エイサーも参加されました。
3年ぶりに開催された2022年度のエイサーまつりには、シークレットゲストで元THE BOOMの宮沢和史さんが登場。
第8回RIVER大正エイサーまつりのイベントレポートはこちら





どちらも入場無料!気軽に遊びにきてね〜!


大阪・大正 沖縄フェスティバル
2022年、FM COCOCO『沖縄からの風』プロジェクトから、
新たなイベント『大阪・大正 沖縄フェスティバル ~沖縄からの風~』が誕生しました。
イベントを企画した宮沢和史さんとMC担当の加美幸伸さんの二人の進行で行われる、スペシャル野外音楽イベントです。
毎年10月に平尾公園で行われており、2024年度は10月27日(日)に開催が決定しています。


復帰50の物語 第34話 リトル沖縄における“復帰”
2022年9月1日、QAB 琉球朝日放送の情報番組『CATCHY』にて、
『復帰50の物語 第34話 リトル沖縄における“復帰”』が放送されました。(2週にわたり放送)
大阪のリトル沖縄がどんなところなのか、
沼尻アナウンサーによる現地取材を通して詳しく知ることができます。
インターネットでアーカイブ映像がご覧になれます。
▼復帰50の物語 第34話 リトル沖縄における“復帰”





大正区がどんなところか伝わりましたでしょうか。JR大正駅は、ユニバーサルシティ駅から電車でわずか12分ですので、大阪観光の際には是非お立ち寄りください。



最後までお読みいただき、いっぺーにふぇーでーびたん♪(ありがとうございました)

